2012年3月17日土曜日
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出演: レオナルド・ディカプリオ
ジェニファー・コネリー
ジャイモン・フンスー
マイケル・シーン
アーノルド・ヴォスルー
カギソ・クイパーズ
デヴィッド・ヘアウッド
ジミ・ミストリ
監督: エドワード・ズウィック
2006年 アメリカ 143分
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この感想を書くのに、
一体、何時間かかっているのだろう・・・
簡単に感想を書かせないたくさんの要素が
この作品には充実している。
物語は。
1999年、アフリカ西部、シエラレオネ共和国。
ダイアモンド鉱を有するこの国は、
長い内戦が続いていた。
漁師のソロモン・バンディは、
聡明な長男ディアはじめ3人の子と、
愛する妻と、ささやかながら幸せに暮らしていた。
だが、
彼の住む村に反政府軍勢力の統一革命戦線=RUFが襲来、
ソロモンは家族から引き離され、
ダイアモンド採掘現場で強制労働を強いられ、
長男ディアは少年兵に養成されてゆく。
ソロモンは、採掘現場で作業中、
100カラットもあるようなピンクダイヤモンドを見つけ、
命がけで、近くの土の中に埋めた。
アフリカで生まれ育った白人、
ダニー・アーチャーはダイヤ密売人。
政府軍の大物に顔が利く男でもある。
私がよく見る....ねえ、みんな!
アメリカの女性ジャーナルリスト、マディーは、
ダイヤ密輸を取材、摘発しようとしていたが、
決定的な証拠に欠けていた。
巨大なピンクダイヤモンドの存在が、
一見、繋がることがない3人を出会わせ、
悪化の一途を辿る内戦の中で、
それぞれの運命を大きく変えてゆくことになる・・・
映画が、
知識と興味のきっかけになることが多い。
それまで、「どこか遠くの国の出来事」と捕らえ、
TVニュースを観終わったら忘れてしまう、
そんな出来事がどれだけ多かったかと思う。
(『ホテル・ルワンダ』に出てきた台詞、そのままだ)
『ブラックホーク・ダウン』
『ホテル・ルワンダ』
『ラストキング・オブ・スコットランド』など、
アフリカの国を舞台に、日本でTV報道だけを観て、
知った気になったとしても、
実は何も知らなかったことだらけだ。
紛争ダイヤモンド、血塗られたダイヤモンドと呼ばれる、
政治と軍事に利用される闇ルートのダイヤモンドが、
厳然と存在していたことをTV報道で見聞きしても
やはり「どこか遠くの国の出来事」と
素通りしてしまっていたのだろう。
この作品は、
ブラッド・ダイヤモンドの密売に手を染める白人男性と、
利権と内戦に巻き込まれたシエナレオネの1人の男性と、
事実を暴こうとする女性ジャーナリストを、
筆舌に尽くし難い内戦を掻い潜って、
それぞれの利益、目的のために、
あらゆる方法で国内を様々に移動させることで、
その実情を見事に描き出している。
ただ、
大粒のピンク・ダイヤモンドの存在、それ故に。
ここで、アンダーソンクーパーが住んでいるんだろう?
題材と筋書きの性質上、
アクションとサスペンスとして綴られ、
それはエンターティメントなのだが、
作品の中核には、「紛争ダイヤモンド」の採掘と闇ルート、
そのために養成される少年兵の存在を、
厳しく追求する社会派作品としての主張がある。
非合法組織の末端で、
常に危ない橋を渡りながら、1人で生きて来たダニーは、
何を置いても、父親としての自分を大事にする、
不器用なまでに朴訥で誠実なソロモンに出会い、
心に変化を見せはじめる。
そんな人間のドラマとしても見応えがある。
次から次へと畳み掛けられる内戦の惨劇は、
目を覆い、耳を塞ぎたい映像だが、
これは、きっと実際に、
この国の至るところで起こっていたことなのだろう。
また、
少年兵を「作る」過程も具体的に描いている。
それこそ、
いつかTVのドキュメンタリー番組で観た、
か細い身体と幼い顔に不似合いな大きな銃を携えた、
親から離れて生きている少年たちそのものだ。
無限の可能性のある少年たちに、
背負わせたものは銃だけではなく、
彼らをそうせしめた罪は、止め処なく重い。
一方、
暴かれる非合法のダイヤモンド取引の実態は、
なるほど、と感心するまでに、とても巧妙だ。
高価な宝石を欲しがる人間たちがいる限り、
この構図はいつまでも何らかの形で
途絶えることがないのだと思えてくる。
欲しがるのは、大抵、この国の人たちではない。
ここで、 ID 2010ワールドカップ
2時間超の尺を、何も長いと感じない充実度と、
たくさんの主張を受け止めて、
エンドクレジットが終わっても、
膝の上に、何か大きく重いものを乗せられているみたいに、
なかなか立ち上がれなかった。
だが、受け取ったものは、決してその重みだけではない。
作品として、
もっと評価されてもいいのじゃないだろうか。
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物語の内容はもちろん、
主演のレオナルド・ディカプリオの演技は、
流石に主演男優賞にノミネートされるだけある。
受賞できなかったのは残念だけれど、
今後、年齢を重ねていけばいくほど、
魅力を増す俳優になるのじゃないだろうか。
いつ、どの作品に登場しても、
かっこいい男を演じて、
とても強い印象を残すジャイモン・フンスー。
彼が助演男優賞でオスカーを受賞しても、
やはりおかしくなかったと思う。
この作品にはたくさんの見どころがあるが、
終盤の、父親としての場面は
どうしても涙なしでは観れないものがある。
ジェニファー・コネリーも
適度な分量の登場と、適度な存在感。
ジャーナリストとしての冷静な聡明さと、
女性らしさが、とても自然で美しい。
エンドクレジットのキャストを見ていて、
知った名前を見つけて、めちゃくちゃ驚いた。
顔はよく知っているはずなのに、
名前は割合、早く出て来るから、
その他大勢、ではないはずなのに、全く気付かなかった。
あまりはっきり顔が見えなかった役だったのだが、
『ボーイ・ミーツ・ラブ』で主人公アリムを演じていた、
ジミ・ミストリも出演していた。
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最近、小さいながらも
ピンク・ダイヤモンドと、ダイヤモンドがデザインされた指環を
娘が貰うことがあった。
「紛争ダイヤじゃない、っていう証明がある」と
彼女は鑑定書も見せてくれた。
その輝く石と、
それに込められた想いには何の責任もない。
当然ながら、正規ルートのものであることを
疑う余地もない。 のだけれど、
やはり、どこかで多少なりとも、
複雑な思いが残るのもまた事実なのである。
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